インプラント周囲炎って?歯周病?
健康な歯につきものなのが、虫歯や歯周病のリスクです。とくに歯周病は、自覚症状がほとんどないため、気づいた時にはかなり進行しているという厄介な疾患です。そのまま放置していると、やがて歯は自然に抜け落ちてしまいます。
「でも、インプラントは金属だから、そんな心配はないんでしょ?」
いえいえ、そんなことはありません。インプラントにも歯周病はちゃんと存在するのです。
◆インプラント周囲炎って?
インプラント周囲炎は、細菌感染によって歯肉や歯周組織が侵されていく疾患です。歯肉の腫れや出血などの炎症から始まり、歯根膜や歯槽骨などにまで拡がると、土台となる骨が溶かされてしまい、最後にはインプラントの脱落を招いてしまいます。
インプラントには、歯根膜などの栄養を運搬する組織がないため、抵抗力が弱く、炎症が加速して重症化しやすいという特徴があります。インプラントの失敗の多くが、このインプラント周囲炎だといわれています。
◆インプラント周囲炎の原因
◇メインテナンス不足
インプラントの治療後は、セルフケアはもちろん、歯科医院での定期的なクリーニングが重要となります。これを怠ることが、インプラント周囲炎発症の最大の原因となります。
◇喫煙
歯肉の免疫力を低下させ、感染リスクを高めてしまいます。また、喫煙によって血流が滞ると、唾液の分泌量も低下します。自浄作用のある唾液の減少は、細菌の増殖を促してしまいます。喫煙者は非喫煙者に比べ、インプラント周囲炎になるリスクが2~6倍にも跳ね上がるといわれています。
◆インプラント周囲炎を予防しよう
◇毎日のケア
正しいブラッシング法を身につけ、患者さん自身が自主的に、プラークコントロールを行うことが大切です。
◇定期的なプロフェッショナルケアを
患者さんによるホームケアだけでは、どうしても限界があります。歯科医院での定期的なクリーニングは、インプラントの維持に欠かすことができません。また、継続して受診することで、インプラント周囲炎やその他の異常にも、迅速に対処することが可能となります。
◇生活習慣を改善する
インプラント周囲炎の原因となる喫煙や食習慣を改善することも重要な課題です。