先天性の歯並びの悪さ ~先天性欠如歯~
皆さんは「先天性欠如歯」という言葉を耳にされたことがあるでしょうか。
乳歯の下では本来、永久歯の歯胚(歯の芽のようなもの)が育っていますが、これが何らかの理由で作られないため、永久歯が無い状態になってしまうのです。これは永久歯にも乳歯にも見られ、1~3本の少数歯の欠損から10歯以上の多数歯が欠損する場合もあります。
◆永久歯のない子供が増えている?
2011年に日本小児歯科学会が報告した調査結果によると、小児歯科を受診している子どもの10人に1人に先天性欠如歯があることが判明しています。乳歯では全体の0.5%、永久歯では、全体の10.1%にあたる子ども達に、先天性欠如歯が確認されています。
◆先天性欠如歯の原因
先天性欠如歯の原因は、いまだに明らかにされていません。しかし、遺伝や薬の副作用、全身疾患、妊娠中の母親の栄養不足などが指摘されています。また、1~2本の少数歯の先天性欠如歯では、食生活の変化に伴う歯の退化ではないかとも考えられているようです。
◆先天性欠如歯になりやすい歯って?
上顎より下顎で起こりやすいとされ、歯の部位では側切歯(2番)と第二小臼歯(5番)に多く見られるようです。
◆永久歯が生えないとどうなるの?
本来、乳歯の根は、永久歯の成長と萌出が始まると、どんどん吸収されて短くなり、最後には抜け落ちて永久歯にバトンタッチされます。しかし、永久歯が無い状態では、乳歯の根は吸収されないため、抜けることなくそのままその場にとどまります。
先天性欠如歯の場合は、その乳歯を出来るだけ長く残すようにしますが、エナメル質がもろく、酸に弱い乳歯は虫歯になりやすいため、生涯永久歯の代用を果すのは非常に困難であるといえます。
◆乳歯が抜けたらどうなるの?
歯がない状態を放置すると、両隣の歯が歯の無いスペースに向かって倒れ込んできたり、噛み合うはずの歯が伸びてきたりします。これが原因で歯並びや噛み合わせなどが悪くなり、上手く噛むことができなくなってしまいます。
ですから、部分入れ歯やブリッジ、インプラントや矯正治療によって、歯の無い部分を補う治療が必要となります。