歯周病が及ぼす身体の害


近年、歯周病が多くの疾患に影響を及ぼすことがわかってきました。
そんな恐ろしいリスク因子になる歯周病と全身疾患についてお話ししたいと思います。

歯周病ってどんな病気かご存じですか?

歯周病は、細菌の感染によっておこる炎症性の疾患です。
歯垢(プラーク)の中にいる細菌によって歯肉に炎症を引き起こします。
歯肉が赤みを帯びたり腫れたりします。
さらに症状が進むと、歯周ポケット(歯と歯肉の境目)の溝が深くなり、歯槽骨(歯を支えている土台)を溶かしていきます。
最後には歯を失ってしまいます・・・

歯垢は、うがい程度では落ちません。
また、そのまま放っておくと、硬くなり歯石になります。
歯石は、歯磨き程度では、取り除けません。
歯石もそのまま放置しておくと、歯周病を進行させる原因になります。

そんな歯周病ですが、もっともっと恐ろしいことに、身体にも健康被害を及ぼし、
生命まで脅かす原因となりうることが明らかになりました。

歯周病の炎症によって、サイトカインという物質が作られます。
それが、病原因子や細菌そのものと併せて気管から肺、または、歯周ポケットの深い溝から入り込み血流にのって全身へ循環し、さまざまな臓器に影響を与えるとみられています。

◎冠状動脈性心疾患
心臓に血液を供給する冠状動脈の血流が悪く、心臓に障害がおこる病気の総称を『漢字用動脈性心疾患』と言います。
歯周病原性因子や病原因子などが、血流にのり冠状動脈に達すると、アテロームを急速に形成。
心筋梗塞や狭心症の虚血性疾患は、このアテロームが心臓の冠状動脈で形成され閉塞されることでおこる病気なのです。
なので、歯周病の方は、心血管の病気が発症しやすい状況になっているともいえます。

◎糖尿病
多く糖尿病の患者さんに、重度の歯周炎がみられます。
歯周病は、糖尿病の合併症の一つと考えられています。
サイトカインのある種のものが、血糖値の低下を阻害するインスリン抵抗性があり、血糖コントロールの改善が行われにくくなっています。
歯周病治療をして、炎症をおさえ、サイトカインが減ると血糖コントロールの改善が行われやすくなると思われます。

◎誤嚥性肺炎
高齢者に多くみられるという『誤嚥性肺炎』。
高齢者などは、飲み込む力や咳反射が低下しているので、だ液中の歯周病原性因子が誤って気管に入ってしまい肺炎をひきおこします。
高齢者の方には、口腔ケアを行って菌を減らし、お口の中の環境を良くすることで、肺炎発症率が下がると考えられます。

◎骨粗鬆症
高齢の女性に多いという『骨粗鬆症』。
歯周病は骨を溶かしてしまう病気とも言え、骨粗鬆症の人が歯周病になれば、症状が進行する可能性があると言われています。
また、骨密度の減少と歯の喪失は、関連しているとも。

◎早産・低体重児出産
妊娠中は、ホルモンが変化し、お口の中も影響を受けやすいです。
炎症が起こり、歯周病になる方もいます。
歯周病原性因子や細菌、サイトカリンが血流にのって子宮に達すると子宮筋の収縮を引き起こし早産や、低体重児出産になる可能性があると言われています。

歯周病は、気づかないうちに進行することが恐ろしいと言われています。
歯肉の痛みや腫れの症状は、段階でいうと末期です。

健康(健口)保持のために、3ヶ月に1回、定期的に歯科衛生士による専門的なクリーニングやメンテナンス、検診を受けることをおススメします。
 

最新のお知らせ

アクセス

oshiharai_3.jpg